対称式・交代式の因数分解

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対称式・交代式の因数分解

対称式や交代式の因数分解では、ただ因数分解の公式を使うだけではなかなか上手くいかない場合があります。そんな時に使えるテクニックを紹介していきます。

因数分解の公式についてはこちらの「因数分解とそのコツ」で紹介しているのでご覧ください。

対称式・交代式

まずは対称式・交代式とは何か見ていきましょう。

・対称式

対称式とはどの二つの変数を入れ替えても元の式と同じになるもの対称式と言います。

例えば、\(a^2+b^2\)は\(a\)と\(b\)を入れ替えて、\(b^2+a^2\)としても元の式と変わりません。

・基本対称式

対称式は全て基本対称式で表せます。言い換えれば、基本対称式とは全ての対称式の元となっている最小単位の対称式です。

・2変数の基本対称式

\(x+y\)

\(xy\)

\(x,y\)のみの対称式の場合、全て上の基本対称式の積と和の形で表せます。

・3変数の基本対称式

\(x+y+z\)

\(xy+yz+zx\)

\(xyz\)

\(x, y, z\)のみの対称式の場合、全て上の基本対称式の積と和の形で表せます。

・交代式

交代式とは二つの変数を入れ替えると元の式と符号のみが変わるもの交代式と言います。

例えば、\(a^2-b^2\)は\(a\)と\(b\)を入れ替えると、\(b^2-a^2=-a^2+b^2\)となり、元の式の各項の符号が変わったものとなります。

対称式・交代式の因数分解

対称式・交代式の因数分解をする時は次のことを頭に入れておくと良いです。

対称式・交代式の因数分解のポイント

一つの文字に着目して変形してみる。

上記のポイントをもとに例題を見てみましょう

・次の式を因数分解せよ

\(a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2+2abc\)

上の式はa、b、cどの二つを入れ替えても変わらない対称式となっています。このままだと計算しづらいので一つの文字に着目して変形してみましょう。aに着目してみることにします。

\((与式)=a^2(b+c)+a(b^2+2bc+c^2)+b^2c+bc^2\)

さらに変形すると

\((与式)=a^2(b+c)+a(b+c)^2+bc(b+c)\)

\((b+c)\)が共通因数になっていることに着目して

\((与式)=(b+c)\{a^2+a(b+c)+bc\}\)

因数分解の公式を利用して

\((与式)=(b+c)(a+b)(a+c)=(a+b)(b+c)(c+a)\)

というように因数分解することができました。このように一つの文字に着目して整理して行くと因数分解できることがあるので覚えておきましょう。

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